【日本太鼓協会公認指導員会】

日本太鼓協会公認指導員会は、一般財団法人日本太鼓協会が公認する、和太鼓指導員の活動組織です。
日本太鼓協会が和太鼓の普及・振興と発展を目指し公認指導員会を立ち上げ、全国を東西南北の支部に分け、それぞれの支部で和太鼓の演奏活動、普及活動を進めています。
その支部活動が今、和太鼓の更なる振興と発展に貢献する魅力的な活動に成長し、進化しています。
最大の進化のひとつが、日本太鼓協会指導員会の活動からオリジナル曲が誕生したことが挙げられます。
指導員会設立当初から指導員が集まって演奏する、いわゆる「合同演奏曲」がありました。
当時からプロの先生が作曲した曲を、公認指導員会が主催する講習会を通して先生から直接演奏指導を受けていました。
林田ひろゆき先生作曲の日本太鼓協会公認合同演奏曲「令和」、北原永先生作曲の「山呼」は、指導員会活動を通じて全国各地で演奏されています。
【指導員会活動から誕生した合同演奏曲】

2023年、公認指導員会(東支部)の演奏活動チームである「東の蒼龍」は、公認指導員の菊池康平さんが作曲した「リアン」(フランス語で「絆」の意味)の提供を受け、合同演奏曲として演目に加えました。東の蒼龍は、公認指導員(東支部)が自主的に立ち上げたプロジェクトチームで、プロ作品など楽曲の普及活動を進めています。令和や山呼は公認指導員の中でスタンダードとして定着しており、そろそろ次の「合同演奏曲」が求められていた時期でした。
リアンは、「東の蒼龍」の中で、作曲者の菊池さん自らが演奏指導にあたっています。
リアンを指導員の所属チームの持ち曲とする動きも活発で、日本太鼓協会主催の演奏会のほか、指導員の所属チームの演奏会で「リアン」を取り上げるようになりました。
リアンは今までのプロ作品にはない、独創性に富んだリズムとめくるめく曲展開が印象的です。ポップスに慣れ親しんだお客さんにも分かりやすいキラキラした明るい曲で、叩いて楽しく、見ても聴いても楽しい曲に仕上がっています。リアン「絆」を表現する振りが曲の最大の特徴となっていて、極めて大人数の演奏にも相応しい曲です。
私はリアンが大好きで、よくみんなと一緒に演奏しますが、思わず演奏に熱が入り、自然と笑顔が出てきます。
日本太鼓協会公認の合同演奏曲も誕生しました。東支部から「路~みち~」(森綾子さん作曲)と西支部から「一歩」(羽田しのぶさん作曲)が2025年、日本太鼓協会指導員会の中で行われた「和太鼓作曲コンペ」で選出されました。課題は「はじめて太鼓を叩く人でも2,3回の練習でできる曲。
曲の長さは2~4分程度。子供からお年寄りまで誰でも叩けるように速すぎない速度で」などの条件が提示され、この課題への応募の中から選ばれた2曲です。
入選曲は日本太鼓協会主催の太鼓教室の課題曲として、また太鼓まつりの合同演奏曲として頻繁に取り上げられています。
「路~みち~」は笛のメロディーを持つ合同演奏曲です。森さんの豊かな情感が笛のメロディーに現れています。
私的な印象ですが、私は「路~みち~」を演奏しながら森さんのホームタウン、東京都足立区を流れる荒川沿いの風景が目に浮かんできます。
太鼓の稽古を終えた子供たちが夕暮れ迫る荒川の土手路を、談笑しながら歩いて家に帰る。気が付くと空に一番星がまたたいている・・・
勇壮で激しい表現が多い和太鼓の演目の中にあって、「路~みち~」はほっと一息つくことができる、やすらぎと爽やかさがある曲です。
【合同演奏曲普及の効果】
さて、これらの合同演奏曲が日本太鼓協会指導員会から誕生し普及が始まっていますが、ここから更に新たな動きが始まっています。
2024年12月初旬のこと。
私がLINEチェックをしていましたら、チームスクラムのメンバーからメッセージが入っていました。
「松下さん!こんばんは!12/7ご予定ありますか?」詳細を尋ねたところ「某所で餅つき大会があり、太鼓の演奏を頼まれたのだけれど人数が足りなくて困っている。
ぜひ参加して欲しい」とのこと。1週間後のことでしたが「必要とされる場所で、期待に応える演奏をする」ことを信条としている私としては、断る理由などありません。
当日の参加者は5名。いずれも各地で合同演奏曲を演奏している達者なメンバーです。
急遽作ったプログラムは「スクラムZ」「山呼」「令和」「リアン」など5曲。合同演奏曲主体の重厚なプログラムです。
お客さんは普段和太鼓に馴染みがない方でしたが、にわか作りのユニットで、本格的な和太鼓演奏を楽しんで頂きました。
指導員仲間の間では、このようなことがあちこちで起こっているようです。
日本太鼓協会指導員会が主催する太鼓まつりは、合同演奏曲で繋がったチームが多数参加します。演奏プログラムの中に合同演奏曲が盛り込まれ、チームの枠を超えて一緒に演奏するシーンが登場します。
演奏しても見ていても本当に楽しいものです。
時には、プログラムにない曲でも、例えば鼓童曲など一緒に演奏できるようであれば、昼休みの時間など集まって即興で演奏することもあります。見ているお客さんも「へえー、すごいな!」という顔をしています。
このように、合同演奏曲を覚えると変幻自在にユニットを組むことができるうえ、臨機応変に場面に対応することができます。私は和太鼓が世の中の期待に応えるために、合同演奏曲の普及が大変役に立つと考えています。
日本太鼓協会および日本太鼓協会指導員会の活動は真に創造的で、和太鼓文化発展の触媒のような役割を果たしています。この動きがどんどん広がって、ますます和太鼓文化の普及・振興・発展につながるように、私もその一端を担うことができればと思います。
参考文献(和太鼓教本① 日本太鼓協会発行、2011年12月発刊)
(追記)羽田しのぶさん作曲の「一歩」については、これから私も稽古し指導員仲間と共に演奏するのを楽しみにしています。
